「正心」とは何か?忍者の古典『萬川集海』が最初に示した、技を生かすための絶対条件

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「正心」とは何か?忍者の古典『萬川集海』が最初に示した、技を生かすための絶対条件

技の前に、なぜ心なのか

現代は、目に見える力が評価されやすい時代でござる。

新しい技術。
効率を上げる方法。
注目を集めるための工夫。

どれも大切である。
しかし、どれほど優れた技を持っていたとしても、
それを扱う土台が揺らいでおれば、やがて結果もまた崩れてしまう。

家が基礎の上に建つように、
忍術もまた、ある「心」の上に築かれる。

その名を――
正心という。

古典が示した順番

江戸の世にまとめられた忍術の体系書『萬川集海』は、
膨大な技法や心得を収めた書として知られておる。

しかし注目すべきは、
その内容の豊かさだけではない。

何より大切なのは、
何から書き始めているかでござる。

そこに置かれたのが、正心。

つまり忍びの世界では、

技より先に整えるものがある

という順序が、はっきり示されているのでござる。

正心とは、どういう状態か

これは「良い人になれ」という話ではない。

優しさだけでもなければ、
感情を押し殺すことでもない。

忍びに求められたのは、

物事をゆがめずに受け取る心

見たいものではなく、
あるものを、そのまま見る姿勢。

恐れや願望、思い込みを混ぜぬこと。

これが保たれて初めて、
観察は役に立ち、報告は信頼される。

正心とは、
成果の精度を守る仕組みでもあったのでござる。

心が乱れれば、術は凶器になる

古くからの教えに、こうした戒めがある。

心正しからざれば、術は悪を助くる具となる。

どれほど高度な技も、
使い手が誤れば害となる。

それは戦国の忍びだけの話ではない。

現代においても、

便利な道具
強い影響力
高度な知識

これらはすべて、
心の向きによって価値を変える。

だからこそ、最初に正心が問われたのでござる。

忍びはどうやって磨いたのか

特別な修行だけではない。

日々の任務、
日々の観察、
日々の報告。

この繰り返しの中で、

余計なものを足さない習慣

を身につけていった。

地味である。
しかし、これが最も強い。

忍びとは、派手な奇術の者ではない。
静かな積み重ねを続ける実務家であった。

現代に生きるわたしたちへ

さて。

この話は遠い昔の出来事に聞こえるだろうか。

むしろ今ほど、

事実をまっすぐ見る力
解釈を混ぜない姿勢

が求められている時代はないのではないか。

仕事でも、教育でも、組織でも、
問題の多くは心の傾きから始まる。

正心とは、
時代を超えて機能する基準なのでござる。

まとめ

忍者の強さは、
不思議な術だけにあったのではない。

静かに整えられた土台。
それがすべてを支えていた。

技を磨く前に、心を固める。

遠回りのようでいて、
これこそが最短の道であったのだろう。

派手ではない。
だが、確かに効く。

忍びの知恵は、今も変わらずそこにある。